鼻手術と補聴器導入が得意な耳鼻科
ほほ(頬)の痛みや顔全体の鈍痛は、歯性上顎洞炎の可能性があります。適切な診断と治療により再発を予防しましょう。
上顎の小臼歯あるいは大臼歯の歯根部と上顎洞は通常薄い板のような骨で区分けされております。歯の歯根部の炎症が急性や慢性に起こると、続発性に上顎洞炎を起こすことがあります。上顎洞炎の実に3割もの原因が歯性である、とも言われています。
歯の歯根部は上顎洞と薄い板状の骨で仕切られています。歯と歯槽骨は1階、上顎洞は2階の一軒家で例えられることができます。1階の炎症が2階に移ったり、2階の炎症が歯の痛みとして感じる場合もあります。 むし歯や歯周病が原因で上顎洞炎を起こすことがあります。むし歯が進行していくと歯の神経が腐ってきます。そして歯根の先に膿をためるようになります。歯周病の場合は、歯周ポケットという歯と歯ぐきの隙間の部分から歯周病菌が入り込み、徐々に歯槽骨という歯を支えている骨を溶かし、膿をためるようになります。
またインプラント治療の際に、土台となる歯槽骨が薄いために、サイナスリフト(上顎洞底挙上術)という術法で歯槽骨を厚くする方法があります。上顎洞炎の後など上顎洞底の粘膜(シュナイダー膜)に炎症が残っていたりするとサイナスリフトが上手くいかない場合もあります。その際の合併症予防や上顎洞内の衛生状況を改善するために、歯科の先生から鼻の手術を薦められる場合もあります。
耳鼻咽喉科における治療の役割は上顎洞底のシュナイダー膜をきれいにする事、上顎洞内をきれいに保つために鼻洗浄時に洗浄液が上顎洞の隅までくまなくまわるようにする事です。 鼻中隔の弯曲がある場合には鼻中隔弯曲矯正術をまずおこないます。その後上顎洞の手前の篩骨洞を開放します。 その後上顎洞の自然孔(自然に空いている小穴)を大きく十円玉大に開放します。その後下鼻甲介を骨折させて中腹から作業用孔(術後1ヶ月で自然に閉鎖します)をあけて上顎洞底を掻爬できるようにします。