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副鼻腔真菌症

副鼻腔真菌症はカビ(真菌)が原因でおこる副鼻腔炎です。
 当院では手術で治癒可能な慢性非浸潤性(寄生型)副鼻腔真菌症を対象に治療させていただいております。

副鼻腔真菌症の分類

 副鼻腔真菌症は重篤な症状を呈する浸潤性と、限局した病変を呈する非浸潤性に分類されます。浸潤性は主にステロイド内服や抗がん剤の使用により免疫力の低下した患者さんに多く見られるため市中病院ではあまりお目にかかりません。非浸潤性は免疫力が正常な患者さんでも多くみられ、さらに慢性非侵襲性(寄生型)とアレルギー性(AFPS)とに分けられます。

表:副鼻腔真菌症の分類(吉川衛教授)

分類

経過

免疫状態

アトピー

真菌の役割

組織浸潤

急性浸潤性

急性

免疫不全が多い

なし

病原菌

あり

慢性浸潤性

慢性

免疫正常が多い

なし

病原菌

あり

慢性非浸潤性(寄生型)

慢性

免疫正常が多い

なし

真菌塊

なし

アレルギー性(AFRS

慢性

免疫正常

あり

抗原

なし

慢性非浸潤性(寄生型)は副鼻腔炎真菌症の中では最も発生頻度が高く、真菌塊(fungus ball)という特徴ある画像所見があります。

慢性非浸潤性(寄生型)副鼻腔真菌症

 免疫力が正常な患者さんにも起こるため、長期にわたり放置されることが多く、耳鼻咽喉科外来でCT撮影して偶然発見されることが多いです。一般的な症状は、膿性鼻漏、後鼻漏、頭痛や頬部痛、鼻出血などです。副鼻腔のがんとの鑑別のため当院では必ず近隣病院にて造影剤を使った副鼻腔CTを撮影して、診断しております。

 発生箇所は上顎洞が一番多いですが、篩骨洞や蝶形骨洞にも発生し手術加療した経験もあります。

治療

 標準的治療は内視鏡下鼻・副鼻腔手術による真菌塊の除去で、副作用の多い抗真菌薬の内服はおこないません。
 ほとんどが上顎洞に発生するため、実際の手術手技は歯性上顎洞炎の場合と似ており、鼻中隔湾曲矯正した後に、篩骨洞を開放し続いて上顎洞を開放します。このとき大切なのが上顎洞底の異常粘膜もきちんと除去することが大切で、これには70°斜視硬性鏡を用いて専用ドリルを使用します。
 この手技は難易度が高く、マスターするために、副鼻腔真菌症の大家である東邦大学医学部大橋病院吉川衛教授の鼻内視鏡手術を二度見学させていただき、マンツーマンでご指導いただきました。この場を借りて御礼申しあげます。

文献

  • 1)吉川衛. 「第115回日本耳鼻咽喉科学会総会ランチョンセミナー」副鼻腔真菌症の診断と治療. 日本耳鼻咽喉科学会会報 2015; 118:629-635.
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