鼻手術と補聴器導入が得意な耳鼻科

睡眠時無呼吸症候群

当院ではCPAPを使わない睡眠時無呼吸症候群の治療をおこなっております。

 睡眠時無呼吸症候群は医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。

 重症の無呼吸の治療にはCPAPという人工呼吸器を用いてマスクを装着して、無呼吸発生時に強制的に空気を送るというのがのが究極の治療法でした。しかしCPAPには以下の欠点があります。
 (1)マスクをつけながら眠るのがわずらわしい事
 (2)鼻呼吸ができないと空気が口に流れ苦しい事
 (3)鼻や咽頭が乾燥しやすい事
 (4)旅行等で持ち運びが不便な事
 (5)毎月のランニングコストと通院の手間がかかる事
 (6)眠りの質が本来の眠りではなく変化する事(⇒論文

 無呼吸症が鼻腔、口蓋垂(のどちんこ)、舌根の3カ所で閉塞している事が原因であるため、当院ではこの3点を集中して治療することにより、CPAP離脱のお手伝いをさせていただいております。

いびき症について

 一重にいびきといっても、病態は人により様々です。無呼吸の有無が一つのキーポイントです。

[無呼吸がある方] 実は眠りが浅いとイビキをそんなにかかないものです。寝返りも激しくゆっくりイビキをかく!?暇もないからです。何らかの原因または薬の効果により眠りが急に深くなり上向けに眠り込んだ結果、大きなイビキ音が発生するケースも多いです。その場合にはイビキを治すよりもまず無呼吸の原因を解消することが先決です。

[無呼吸が無い方]どうやら無呼吸はなさそうなのに単純にイビキがうるさい(と周りに言われる)方は、鼻腔、口腔内の口蓋垂(のどちんこ)、咽頭の舌根部のどれか一か二つが原因箇所です。一般的には喉頭ファイバーといって鼻から細い管をいれて内視鏡的に診察することにより数分で診断できます。

 イビキが鳴る仕組みは楽器サックスの音が鳴る構造に似ています。サックスはマウスピースに空気を吹き込み、葦(アシ)でできた薄いヘラ(リード)を振動させて、チェンバーとよばれるサックスのマウスピースの中の小さな空間で音を共鳴・増幅させます。
空気を吹き込む部分がイビキでの口呼吸、 リードの部分に相当する音の発生源が口蓋垂(のどちんこ)、共鳴を司るチェンバーを包むプラスティックの部分が舌根に相当します。

どの部分が音の発生原因になっているかどうか、詳しく診察する必要があります。そしてイビキの発生箇所を構造から変えてしまう、すなわち鼻腔、口腔、咽頭という3つのパーツから成る楽器構造を鳴らなくする、のがイビキの治療の本質です。

睡眠パターンと無呼吸検査

 睡眠はREM睡眠とnon-REM睡眠に分かれます。non-REM睡眠はステージ1~4までありステージ3または4は深睡眠といいます。一方、REM睡眠は眼球運動を伴う眠りであり、ほとんどの場合夢をみています。無呼吸はREM睡眠中に増悪し、低酸素血症も重度になることが多いです。覚醒反応は脳波上の短時間覚醒であって、無呼吸によっても引き起こされ、頻回であれば分断睡眠となって、深睡眠やREM睡眠は減少し、浅睡眠が増加します。
 当院では、侵襲感(検査を受けているという違和感)の少ない簡易型睡眠検査はフィリップス社のWatchPATを使っています。(日経新聞のWatchPAT紹介記事) REM睡眠やnon-REM睡眠など睡眠サイクルを詳細に解析できるのは、簡易型睡眠検査では今のところこのWatchPATのみで、装着しているという感覚が少ないのに対し得られるデータが同等機種より多いというメリットがあります。(検査データ例・・下記)

 

治療概要

【対象】
・他院にて無呼吸症またはいびき症と診断された方

・現在CPAPをご使用中で離脱を考えている方

【治療受託条件】

BMIが30未満の方※(BMIとは

・未治療の高血圧症がない方

血液凝固剤等を内服せず、外科的治療が可能な方

・術前術後で約4週間の禁酒が守れる方

・最低半年間、当院に通院が可能な方

・睡眠導入剤等を常時内服していない方

  ※BMIが30以上の方は当院専属の栄養士の指導を受けていただくことも可能です。

【治療法】

(STEP0)  睡眠時無呼吸といびき症の程度を調べるために簡易型睡眠検査をうけていただきます。

ーー 診断後患者様とご相談の上、方針を決定します ーー

(STEP1) ご相談の上、当院にて鼻の内視鏡手術を受けていただきます。なお無呼吸の程度によりSTEP2または3を先に受けていただく事があります。

(STEP2) ご相談の上、当院にて軟口蓋形成術を受けていただきます。

(STEP3)  ご相談の上、当院が提携する歯科医療機関様にてマウスピースを作製し装着していただきます。

ーー 半年ごとに自宅にて簡易睡眠検査をしていただき、患者様がご満足いただけるまでアフターフォローさせていただきます。 ーー

【費用】

 STEP1~3まで合わせて総額約30万円~40万円※

  ※(1) (2)は健康保険3割負担で計算しております。患者様の症状、手術を受ける時期により金額は変化します。
  ※金額は諸検査費用は含んでおりません。通院費用は一般的な保険医療機関と同等にかかります。
  ※STEP3のマウスピース代には材料費として約20万円程かかります。(歯科自費診療)

治療実績

 従来「鼻手術単独では無呼吸症は治らない」との科学的研究データが示されておりました。しかし、最新の睡眠時脳波の研究では鼻呼吸の改善によって睡眠の質は改善される事がわかってきました。これらの矛盾は、鼻手術単独では睡眠の質は改善されるものの、浅かった眠りがより深くなるため、舌根沈下がよりひどくなり、無呼吸指数はより悪くなるという現象で説明できます。

当院でも鼻詰まりがある無呼吸症の患者様の鼻を多数手術させていただきました。鼻手術のみですとREM睡眠時間が増えて睡眠の質は向上したものの、無呼吸指数の改善が認められるケースはやはり少数派でした。しかし、鼻通りをよくする手術と軟口蓋形成術とマウスピース療法を合わせることにより、無呼吸指数が劇的に改善することがわかりました。当院でSTEP1~STEP3まで治療しCPAP離脱に成功した患者さんの睡眠検査のデータを示します。

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