OLFACTORY CLINIC
「においがわからない」「何を食べても美味しくない」——。
嗅覚のトラブルは外からは見えないため周囲に理解されにくく、一人で深い不安を抱えている方が少なくありません。当院では、においのメカニズムを科学的に紐解き、最新の知見と技術に基づいた専門的な診断・治療・手術を行っています。
嗅覚障害には、全くにおいがしない「嗅覚脱失」と、鈍くなっている「嗅覚減退」があります。以下のような日常の変化に心当たりはありませんか?
においは「危険を察知するセンサー」であり、「生活の豊かさ」そのものです。少しでも違和感があれば、放置せずにご相談ください。
当院では、においが脳に届くまでのどこでトラブルが起きているかを正確に見極めます。
呼吸性(通り道のトラブル)
におい成分が嗅粘膜まで届かない状態。鼻の入り口の曲がり、空気の通り道を塞ぐ鼻茸(ポリープ)などが原因です。
嗅粘膜性(センサーのトラブル)
ウイルス感染などで、においを感じ取る細胞そのものがダメージを受けた状態。
中枢性(脳のトラブル)
頭部外傷や加齢などにより、においの信号が脳で正しく処理されない状態。
「味がしない」と内科や歯科を受診し、異常がないと言われた経験はありませんか?実は、私たちが食事で感じる味は約7割は風味(におい)、3割が味覚(甘味・塩味など)です。
食べ物を飲み込むときに息を吐く(呼気)と、喉の奥から鼻へ匂いがフワッと抜けていきます。これを「風味」として脳が感じ取っています。つまり、味がしないと悩む方の多くは、舌の異常ではなく鼻のトラブル(風味障害)が原因の事が多いのです。
「においを感じない」だけでなく、「変な匂いがする」という症状も嗅覚障害の一つです。決して気のせいではありません。
自発性異嗅症(ファントスミア)
何もないのに「ドブのような匂い」などがする状態です。副鼻腔に膿が溜まり、酸素を嫌う細菌(嫌気性菌)が発する悪臭を実際に感じ取っているケースが多く見られます。
錯嗅(パロスミア)
にんじんの匂いが別の匂いに感じるなど、本来の匂いと違って感じる状態です。ダメージを受けたにおいのセンサー(嗅神経)が、回復する過程で脳へ誤った信号を送ってしまうことで起こります。
インフルエンザや新型コロナウイルス感染後、「鼻づまりはないのににおいがしない」というご相談が増えています。
これは、ウイルスによって鼻の奥にあるにおいのセンサー(嗅粘膜)がダメージを受けている状態です。CT画像では鼻の中が綺麗に見えても、ミクロの世界で細胞が傷ついています。通常は3〜6ヶ月かけて徐々に回復に向かいますが、一部で錯嗅が残るケースもあるため、専門医による経過観察と適切なサポートが重要です。
嗅覚の低下は、加齢だけでなく、脳の変化を知らせる早期サインになることがあります。
アルツハイマー型認知症
「ヒノキの香りで昔の家を思い出す」ような、記憶と結びつく脳の「海馬」がダメージを受けることでにおいが分からなくなることがあります。
パーキンソン病
匂いの「快・不快」を判断する脳の「扁桃体」の経路が障害され、運動機能の低下よりも前に嗅覚障害が現れることが知られています。
例えば「最近、親の料理の味付けが急に濃くなった」といったご家族の気づきが、早期発見のきっかけになることもあります。
頭部外傷などで嗅覚神経がダメージを受けた場合、かつては「治らない」とされてきました。しかし現在の医学では、嗅覚神経は再生することが分かってきています。
ただし、再生する際に別の細胞と繋がってしまう「誤配達(ミスディレクション)」が起きやすく、これが前述の「錯嗅」の原因になります。また発症から時間が経つほど回復は難しくなるため、正しい治療とリハビリを一日も早く始めることが重要です。
OUR APPROACH
においの治療において、当院は「ただ薬を出す」「ただ手術で切り取る」といった画一的な診療は行いません。科学的根拠(エビデンス)に基づいた、誠実で高度な医療を提供します。
治療法 ①
嗅覚障害に対し、漫然とステロイド剤が処方されるケースがありますが、当院はこれに警鐘を鳴らします。ステロイドは細胞の増殖を抑える薬であり、ダメージを受けた神経の「再生・回復」には効果がないという医学界の共通認識があるためです。当院では、神経修復を促す薬や、細胞再生の助けとなる漢方薬などを用い、理にかなった投薬治療を行います。
治療法 ②
神経の「誤配達」を防ぎ、正しいにおいのルートを脳に再構築するために、当院では実績のある「嗅覚リハビリテーション」を取り入れています。
治療法 ③
薬やリハビリで改善しない「呼吸性」の嗅覚障害(重症の副鼻腔炎や鼻茸など)に対しては、内視鏡下副鼻腔手術を行います。これが当院の最大の強みです。
当院の手術は、単にポリープを取って空気の通りを良くするだけではありません。「数値流体力学(コンピューターによる気流のシミュレーション)」の知見を用い、吸い込んだ空気が鼻の最上部(嗅粘膜)へしっかりと巻き上がるように、患者さん一人ひとりの鼻の構造に合わせて「風の通り道」をデザインします。
他院で手術を受けたけれどにおいが戻らなかった方、治らないと諦めていた方も、ぜひ一度当院の嗅覚外来へご相談ください。