例えば鼻中隔湾曲症・肥厚性鼻炎のページで示したような鼻中隔弯曲矯正術や下鼻甲介骨切除術等を、においのルートを設計すること無しににおこなってしまうと嗅覚が逆に落ちてしまうケースもあります。すなわちこれは、下記のエッセイに例えられます。
___とある都市の古い城下町。私の自宅から最寄り駅に通勤するために、細い路地をくねくねと歩いて通り抜けていく。途中に小さなたたずまいの古風な駄菓子屋さんがあり、時々そこで大好きな「都こんぶ」を買うのが好きだった。
長年都市再開発に反対の方針を貫いてきた市長が替わって数年がたったある年、区画整理がおこなわれ私の自宅の目の前から駅まで2×2車線の大きな道路が開通。私も駅までの通勤手段を自転車に替え、徒歩15分が自転車で5分に。細い路地は人通りが少なくなったようで、私も徐々にその店から足が遠のくようになった。風の噂では去年閉店となったそう。残念ながらもう私の町では「都こんぶ」は手に入らない___
下手なエッセイで申し訳ありませんが、駅から自宅までの交通路は「鼻腔」、駄菓子屋は「嗅覚神経の場所」、そして徒歩や自転車に乗る私は「におい物質を含んだ空気」を表しています。ちなみに徒歩や自転車という表現は「鼻の空気の速度」を表しています。人混みは空気の量ですね。コンピューター解析を使った私の研究では、これと同じ「寄り道」または「遠回り」現象が鼻にも起きていることがわかりました。